これから自転車に乗る人のためにお薦めの本
何か新しいことを始めるときに、とりあえず形から入る人、とにかく詳しそうな人に訊いて回ると人などがいると思うけど、ぼくは根が本好きなので、どうしても本から入ってしまう。本屋に行って棚を眺めてあれこれ買い込んでは読みふけり、想像というか妄想をふくらませているときが、実はいちばん楽しいかもしれない。というのは云いすぎだけど、そんななかで、これは読んどいて良かったな、これからも手元に置いておこう、という本を紹介する。
乗る前に(もちろん乗ってからも)
- 宮尾岳著。現在通算21巻まで出ている(20巻までは『並木橋通りアオバ自転車店』、21巻からはリニューアルして単行本のタイトルのみ『アオバ自転車店01』とシンプルになっている)。ぼくがミニベロを買ったのは、この作品の中でナツキが楽しそうに乗っていたから。原則として読み切りの連作短編で、自転車と出会った登場人物が少しだけ人生を前向きにする物語を描く。ママチャリ、ロード、MTB、ビーチクルーザー、レース、ポタリングとあらゆる自転車の楽しみが詰まっているから、だれが読んでもどこかで「自分も風になりたい!」と思ってしまうんじゃないかな。メンテナンスや交通安全への目配りもあって勉強にもなる。週刊ヤングキング、月刊ヤングアワーズ連載。
- 疋田智著。プロではなくて、あくまでも通勤や買い物、お散歩で乗る一般人の視線から、自転車の選び方や乗り方、メンテナンスの方法を語ってくれる。どんなジャンルでもプロが書いた教科書的な本はもちろん読んだほうがいいけど、それはそれとして実際んとこどうなのよ、って云いたくなることあるでしょ?そんな気持ちに応えてくれる本。欧州の自転車を活用した街作りのレポートも掲載。
- 同じく疋田さん著。『―愉しみ』を読んだら次はこれ。最初からこれでもいいけど、できれば『―愉しみ』の欧州レポートや「ビジョン2012」を読んでおいたほうが疋田さんの問題意識を共有しやすいと思う。自転車用語の基礎知識、自転車の歴史、お楽しみ企画「ジュニアスポーツ車の歴史」、シマノとブリジストンの工場見学レポート、そして「自転車車道通行禁止」の流れを食い止める闘いの記録などなど、2段組約300ページの特盛りで1600円+税はお買い得。
メンテナンスの教科書
- ロードバイクトラブルシューティング―自転車メンテナンスのプロ直伝 (サイクルメンテナンスシリーズ (1))
- バイク・リペア・マニュアル―ロードバイク、MTBから、シティコミューターまで実践整備マニュアル
1は飯倉清著、2はクリス・シドウェルズ著。最低限の整備知識は上記の3冊でも仕入れられるけど、そのうち物足りなくなってくる人がけっこういると思う。いずれも写真が豊富でわかりやすい。1はロードバイクに絞ってある分、さらに写真点数が多い(同じ著者によるMTB/クロスバイク編も有る)。まず「手袋は軍手でよい、細かい作業はラジオペンチ等を活用しよう。安いしウエス代わりにもなるぞ」という旨の指摘で感心。わざわざ作業用の薄手の手袋を買ってきていたので。たとえば初歩的なところでは、パンク修理でゴム糊を指でのばすのが良いというのも初めて知ったし。2は幅広い車種に対応して大量の情報を詰め込んであるため字が小さいのが難点。でもさまざまなパーツの構造や仕組みも解説してあって、メカの入門書としても読み応えがある。