ルポライターの仕事とは

「血と地」(中国雲南から)
http://ch.kitaguni.tv/u/4413/0000281395.html
を読んで考えたこと。これも昨日と一緒でコメント欄に書いてたら長くなってきたので。かなり個人的なメッセージなんですが。

吉沢さんのいいところが出た記事ですね。事実の重みがずっしり感じられました。お見事です。

ただ、これを「血と地」の問題と捉えてしまっていのか、考えてみた方がいいとも思います。「血は、人の存在理由を決定づけるアイデンティティーの源なのでしょうか」というところが、どうも、まだ僕は腑に落ちない。

彼にあるのは、まずはごく素朴に母への複雑で強い思いなのでは。母のことを知りたかったんだろうと。自分が日本人であることを知ったことが幸せなのかどうかは、たぶん彼自身にもわからないでしょう。他人が簡単に忖度できることでもないのは吉沢さんの言うとおりです。

だから、前にも似たようなことを言いましたが、簡単に問題を分析したり一般化しない方がいいと思います。そういうことは評論家や政策を考えたりする人の仕事です。吉沢さんの仕事は、安易な分析や一般論をぶっ壊すような事実を突きつけてみせることだと思うのです。

分析や一般化をすることはとても重要なことです。それをしなければ考えるための手がかりになるような概念や理論は構築できないし、政策の一つも立てられなくなるでしょう。ただ、どうしたってそういった手続きの中では例外が出てきて、切り捨てられてしまいがちです。仕方のないことです。でも、無視して言い訳じゃありません。弱者が切り捨てられがちですし。

分析して、問題点を抽出して一般化して新しい理論や政策を作る。それを打ち壊すような事実が発見される。改めて分析、一般化をする。その繰り返しがより良い社会を作っていくのだと思います。