氷上のおはじき

トリノ五輪の女子カーリング日本対カナダ戦を見て息が詰まるような思いをした。息詰まる戦いってのはまさにああいうゲームのことを云うのだよ。カーリングがあんなにおもしろい競技だとは知らなかった。オリンピックを見ていてあんなに熱が入ったのは初めてだ。

試合の決め手になるストーンが投じられてから結果が出るまでの、あの長い時間がもう、たまらない。呼吸できない。あんな緊張感いっぱいの雰囲気の中であんな繊細なプレーを要求されるのだから、僕なんか30分ももたないよ。特にカナダ戦は小野寺歩が凄まじい集中力で、難しいけどここは決めたい、というショットをぴしりぴしりと決めてみせた。この緊張と弛緩から起きるカタルシス感覚がたまらない快感だった。

みんな見ましょう。ちょっと見ただけではルールが難しそうだけど、実況のアナウンサーが丁寧に解説してくれるから。とにかく最後に円の中心(ティー)に一番近い場所にストーンを置くことを目指しているんだということがわかってれば大丈夫。あとは相手がストーンを真ん中に起きにくいよう、あるいはティーに置いた自ストーンを弾かせないように防御するようストーンを配置したり、次のエンドで後攻を取るためにあえて相手に1点取らせたり引き分けに持ち込んだり−と自分が有利になるよう、残りのストーン数から逆算して戦略を立てていく。エンドも最後の方は詰め将棋のようだ。「氷上のチェス」とたとえられる所以だな。ああんBSが入ってないのがうらめしい。終わった後にNHK総合で見るしかない。

しかし「氷上のチェス」なんていうから日本人には取っつきにくいのでは。「おはじき」でいいんじゃないか。