箇条書きで『誰も知らない』

DVDで『誰も知らない』を見る。感想を書いてみたのだけど、どうやってもまとまらないので、箇条書きする。2回見た時点でのものなので、また見ればまだまだ出てくると思う。

○見ている間とか、見終わった直後はなにも言葉が出なくて、しばらくしてからじわじわと沁みてきた。具体的に云えば、見た後に近所にぶらぶら買い物に出かけたんだけど、そこで道を歩いている子供や買い物をしている子供たちを見たとき、この子たちは家に帰ったらどんな生活してるんだろう、元気そうだから大丈夫かな、なんて気になってしまうのだ。もちろん普段なら視界に入っても意識にはのぼらせない。

○誰に責任があるのか、悪いのはコイツだというような答えを提示するタイプの映画ではないので、煮え切らんなあと思う向きもあろうが、それはその役割を持った者に任せるべきことなのだと思う。ぼくらは、こんな子供たちがいること、こんな生活もあることを知ればいい。

○DVDに同梱の「演出ノート」で監督が書いているとおり巣鴨子供置き去り事件を新しい視点で捉えなおして、云ってしまえば母親や長男の情状を酌量する映画ではある。

○長男は「学校に行きたい」なんて云う一方で、自分たち四人の世界が壊れることも恐れている。

○子供たちの閉じた世界に入り込んできたのは長男の友人になったクソガキどもと、不登校の女子中学生。子供たちの家を都合のいい溜まり場としか思っていないクソガキどもは結局離れていき、女子中学生は寄り添う。クソガキどもがいなくなって長男は寂しがるが、見ている僕はどこかほっとしていた。

○女子中学生もそうだけど、タテタカコ演じるコンビニ店員もちょっと社会から取り残されてる感じがする。だから長男と通じるものがあったのだろう。これはそういう人たちへの応援映画でもある。

○社会から捨てられた、いやそもそも参加さえさせてもらえないでいる子供たちが、それでもキラキラした瞳で生きている。どうしてだろう、ということを考える映画。

○すべてのセリフ、行動に説得力がある。不自然なところはほとんどない。

○初めに見てから一週間過ぎたのにタテタカコの歌が頭を離れない。