サマータイムマシン・ブルース
2回見ろ、とはこの映画を語るときによく使われる言葉で、僕も3回見てしまったが、それは繰り返されるタイムスリップが生むパズルを解読するため、あるいは細かい伏線を確認するためというより、結局はこの作品のテーマを理解するためだった気がする。
集中して見ていれば1度目で仕掛けはわかるし、伏線も腑に落ちてパズルを楽しめるだろう。僕もああ、そういうことね、と納得して見直そうとは思わなかったんだけど、翌日になってなんとなく気になって見返しているうちに、台詞回しのおもしろさがわかってきたり、上野樹里の表情で見せる芝居が心にしみてくるようになった。
そして、パズルの中で一点だけ齟齬をきたしているいるピースがなんのために用意されたのか、なんとなあくわかって初めて、ああ良い映画だなあ、としみじみ感じ入ってきた。ラストシーンからがスタートなのだ。
文房具好きとしてはダイモ(http://dymo.jp/)の使い方にも注目だ。最後の最後でいい役(?)をもらっている。欲しくなってきた。
台詞回しのおもしろさについてはうまく説明できないんだけど、たとえばこういうのが好き。
伊藤「こう必死なトコを引いて撮ってみると、愚かしさみたいのが滲みでくるじゃない? その滑稽さを、切り取りたい、みたいな」
甲本「ていうかさあ、君たちには、こう、いいぐらい、の距離感見たいのはないのかなあ」