『ちりとてちん』で使われた落語の事典

ちりとてちん』第22回(第4週第4回)で喜代美が奈津子からもらった『落語小事典』は、東大落語会編の『落語事典』(青蛙房)に美術スタッフが作った架空のジャケットを被せたものだと思う。
第46回(第8週第4話)でアップになった本文ページを見ると、ぼくが持っている『落語事典』とまったく同じなので、まずまちがいない。

amazonには古本しか登録されていないが、

落語事典

落語事典

ちゃんと改訂版が新刊で流通している。
bk1には登録されている。
http://www.bk1.jp/product/02009286
欲しい人は探してみなれ。

現在新刊で入手できる網羅的な落語事典は、たぶんこれくらいしかない。
たいへんな労作だが、江戸から見た編み方をしてあるので上方落語の題名から引けないのが残念。


どうでもいいんだが、その第46回の落語事典がアップになった直後に出てくる喜代美のペンを持つ手が気になってしまう。前にこのブログで書いた紺野まひるさんのペンの持ち方とほぼ同じ。せっかく箸を持つ手については「ほんまにきれいや」と草若にほめてもらってるのに、なあ。まあ、落語では「筆」を持つことはあっても「ペン」を持つことはないからいいんだけど。

最近の自分の手帳

クレールフォンテーヌの小さいサイズのSEYESノートに、クオバディスのプレインをはさむ。自分の中では、なんでこれまで気がつかなかったんだろうというくらい大ヒットの組み合わせ。

(写真が汚くて申し訳ない)

これまで普段持ち歩くメモ帳にはモールスキンのレポーターを使っていたのだけど、約3年で十数冊も消費したのでそろそろ気分転換もかねて別のノートを使ってみたいと思っていた。でも、あんまり馴染んでいたので、ネットで調べてみても、そうそう替わるものもないなあと半ばあきらめていた。縦開きしか頭になかったのもよくなかった。ところが、家の文具置き場を漁っていたら以前におまけでもらったクレールフォンテーヌが出てきたので、開いて手のひらにのせてみると、大きすぎず小さすぎず、良さそうな感じ。半月ほど毎日使ってみたが、ページがたっぷりあるせいもあって全体にしっかりしていて、立ったままでの記入にも支障がない。

さらに、かねてよりこのプレインがメモ帳と一体にできればいいなとも思っていたので、カバーを外して、はさんでみると、なかなかしっくりくる。ただ、カバーを外したクオバディスの手帳は表紙が生っちろくて物足りないというか違和感があるので、色を塗ろうかとか、紙を買ってきて付け替えようかとか、あれこれ検討したのだけど、裏に折り返して扉を表に出してみたら、なんとなく落ち着いた、と思う。クレールフォンテーヌには細いゴム紐ではさんでいる(ミドリのトラベラーズノートみたいな方法)。

筆記用具は何を合わせるか。このクレールフォンテーヌの罫線は濃いめの紫で目が細かいので、負けないように太く濃く黒々と書きたい。ラミーのLM66を使うスウィフトを選んだ。プレインのほうは書き直しもけっこう多いのでシャープペンシル。強調するところだけ赤。もう去年の春先から常に胸ポケットにあるトンボのZOOM414で定着している。プライベートな事項だけは左のメモ欄に、シュナイダーのベースボールというとっても楽しい青インクのローラーボールで記入している。

すべて、手持ちの文房具の組み合わせでできてしまった。経済的だ(これまでが買いすぎなんだって)。

iPod touch をテキストビューワーにする

いまこそ携帯できるテキストビューワーがほしい
http://d.hatena.ne.jp/fukuroneko/20080926#p1
ということを書いてから、ひと月ほどで結局はiPod touchを買ってしまいましたよ(扱うファイルがテキスト主体なので最小の8G)。
10日ほど使ってみて、テキストビューワーとしても充分に使えることがわかったので、どんなことをしているのか書いてみる。

前述のエントリで書いたように主にメルマガを読むことが目的なので、gmailiPod touch用のアカウントをつくって自動的に転送させている。ほとんどはこれで解決。

ただ、α-synodosだけは圧縮されたテキストファイルが添付されてくるので、一手間かける必要がある。しかもけっこうな大きさなので、メーラーでは扱いにくい。
そこでテキストビューワーを探してみると、

の2つが候補に挙がる(リンク先はiTunes Store)。
いずれのアプリも使い方を解説したブログの記事がいくつもあるので(特にStanzaは充実している)、ここでは使ってみての印象を書く。

Stanza

HTMLやPDFも扱えてすばらしい。なにより無料。
ファイルの読み込みにはデスクトップ版Satanzaを使う。MacのほうでもStanzaを起動してファイルを読み込むと、iPod touchのほうにもダウンロードされるので手軽で良い。
ネット上のサーバーからもダウンロードできるけどURLを手打ちしなけりゃならないので、あまり現実的な方法ではない。
インターフェースの華麗さではBookZに一歩ゆずる。さらに、ちょっと動作が不安定で、ときどき落ちる。

BookZ Text Reader

600円の有料アプリ。テキストしか扱ってくれないが、画面をタップするとページがめくれるアクションが素敵。タップする場所とアクションの割り当ては設定を変えることもできる。
ファイルは適当なサーバーにいったんアップしておいてからBookZのほうでダウンロードする必要があるのでちょっと面倒ではある。でもこのアプリからSafariが使えるので、サーバーまでたどり着くのは難しくない。ブックマーク機能も付いているので次からはもっと簡単。
サーバーはなんでもいいようで、MicrosoftのSkyDriveでも、最近はやりのDropboxでも使えることを確認した。ただ、どういうわけか、「公開」や「Public」のフォルダーからしかダウンロードできなかった。なので、ダウンロードしたら消しておきましょう。
自分のMaciPod touchを「インターネット共有」すればデスクトップから直接ダウンロードしてこれると思うんだけど、いちいち設定変えるのもさらに面倒なんで却下。


いずれも、一長一短、というところ。とりあえず可読性はいずれも期待以上に良かったので、おおむね満足。

それにしても、使うまで気がつかなかったんだけど、どちらのアプリもどこかのサーバーなり自分のMacなりからファイルをダウンロードしてこなければならないのは、なんか納得がいかない。せっかくUSBケーブルでつながってるのに、と。Appleがこのあたりの仕様を公開してないのかな。
蛇足ながら、α-synodosのテキストは強制改行で桁揃えしてあるので、適当なテキストエディタでこれを取り払っておいた方がいい。でないと変なところで改行されて読みにくい。

『未来を写した子どもたち Born Into Brothels:Calcutta's Red Light Kids』についてのリンクまとめ

今日のTBSラジオ『ストリーム』の「コラムの花道」で町山智浩さんが話していたドキュメンタリー映画「未来を写した子どもたち」についてネットで得られる情報をまとめてみました。

これは、カルカッタの売春窟に生まれ育った子供たちにニューヨークの写真家ザナ・ブリスキが写真を教え、悲惨な生活から救い出そうとする活動を追った映画。日本公開が間もなくとのことで町山さんが紹介されていました。

私は以前ニコニコ動画に日本語字幕付きでアップされていた(もちろん違法行為で、今は削除されているが、日本での公開が決まっていなかったのでありがたかった。公開後にはちゃんと劇場行くか、DVD買います)のを視聴しているのですが、写真好きの一人として、写真という表現が人に与える力の大きさに改めて感じ入った次第で、柄にもなく応援したくなってこんなエントリを上げてみようと思ったわけです。

その「写真の力」が別に写真の専門家でなくとも、誰にでも納得がいくように描かれていることがすばらしいのです。ラジオでも触れていましたが、飛び抜けた才能を持つ子が一人いて、この子の才能を埋もれさせるのはもったいない、と思わせられます。さらにほかの子たちも、その子だからこそ撮れたんだろうな、という作品としてのインパクトがなかなかの写真を撮ってくるんですよ、これが。私は思わずアメリカのサイトで写真集をポチってしまいました。

前置きが長くなりましたが、まずはその町山さんのレビューから。

あちらでの公開はもう3年も前。当時、町山さんが『ストリーム』で紹介したときの「コラムの花道」の音声がこちら↓

博士がベストコラムに選んでくれたおかげでバックナンバーに残っていました。

んで、日本の公式サイト。

いきなり予告編が始まるので注意。トップページの集合写真も子供たちの表情に一人ひとりの個性が表れているようで、いい写真ですね。
Youtubeにも予告編が上がってます。

ザナ・ブリスキさんが設立した基金のサイトがこちら↓

ここで写真集を注文しました。クロス装丁の立派な本が届きました。
Flickrにも彼らの撮った作品がアップされています。

ザナさんのサイトでは彼女が撮影した売春窟の写真も見られます。

いまこそ携帯できるテキストビューワーがほしい

最近読んでいるメルマガが、以下のように、

割と小難しいものばかりなので、パソコンの画面よりは、寝っ転がってじっくり読みたいし、外出先でも読みたいのだが、さて、日本にはこれというテキストビューワーが見あたらない。電子ブックリーダーはみんな廃れてしまったし。だいたいあれらってプレーンなテキストやPDFは読めなかったしなあ(ソニー・LIBRIéの北米版はDOCやPDFが読めるのに)。

Amazon Kindleがそこそこ成功を収めていることだし、日本のメーカーも取り組み直してくれないだろうか。

狭いアパートで増え続ける本と格闘している身としては、新書みたいに造本に凝らない書籍だったらもう全部デジタルデータで販売してくれたほうがうれしいし(上から3本のように有料のメルマガを読んでいるのもそういう理由)。

iPod Touchで代用するか。と思ってあれこれ検索していたら、「ソニー、電子ブックリーダーの発表会を予告」(Engadget)というニュースを発見。期待していいのか?いいのか?

水野美術館

今日は水野美術館。きのこっのこーのこ元気の子のホクトの社長さんのコレクションをもとに6年前にスタートした新しい美術館。自分としては苦手というかあまりぴんとこな日本画専門の美術館にあえて行ってみた。

現在の企画展は「玉堂展」。作品に添えられた解説が丁寧でありがたい。これを読みながら一枚一枚見ていってわかった。「知識」がぜんぜん足りないんだな、ぼくは。描線の使い分けひとつちゃんと見てなかった。だから「ぴんとこない」とか言っちゃう。頭を使って、能動的に絵を見る、ということをもっと意識してやらないと、いま以上には絵を楽しめない気がする。(ずっと田舎暮らしで、ここで描かれるような山村風景にそれほど憧れがない、ということもあるかもしらんけど)
3階の企画展を見終えて2階に降りると所蔵品展。川合玉堂の師匠・橋本雅邦、玉堂と同じく雅邦に学んだ横山大観菱田春草、玉堂の弟子・児玉希望、その弟子・奥田元宋と系統立てて見ることができた。大観、春草くらいは知っていたので、そういう関係だったのかと、点と点が結びついた感じ。

岐阜県美術館

昨日に続いて美術館。今日は岐阜県美術館

企画展で「いま、日本画は」をやっている。日本画というと横山大観とか菱田春草みたいなものしかイメージできなかったので、ちょっとびっくりな展示だった。岩絵具使ってれば「なんでもアリ」なのか。
印象に残っているものを羅列すると、山田毅「底引きの網」の目を射抜く鮮烈な赤、中町力「MONTPARNASSE」の変な立体感、坂本藍子「影の果て」のくらくらするような水面のゆらぎ、西田眞人「静まる刻」の既視感の後に訪れる違和感、新恵美佐子「花―1」のなんとも言えない息苦しさ……などなど。

視覚障害者に向けて、同じ題材の立体作品が展示されている絵もあって、手で触れて鑑賞することができる。晴眼者でも触ってみるとおもしろいもので、なかでも岡村桂三郎「迦楼羅 07-2」なんて作品は高さ295cm幅480cmの巨大な二枚の羽を描いたものなんだけど、立体作品を撫でながら絵を見上げると、作者の表現したかたっであろう羽のごつごつした感触が絵の大きさに増幅されて想像できるので、ちょっとぞくっとした。


企画展だけでお腹いっぱい。だったけどせっかくなので、常設展示の部屋に行ったら、日本の神話を西洋の宗教画のような手法で描いた山本芳翠「浦島図」が見られた。むかし、雑誌でちらっと見たことがあったので、ここに本物があったのかと少しびっくり(ろくに下調べもしないで行ったので)。なんとも不思議な感じの絵。